2013年1月18日

第37期棋聖戦第一局

第37期棋聖戦七番勝負第一局は、265手までで白番の井山挑戦者が5目半勝ちをおさめ、囲碁界史上初の六冠制覇に向け好スタートを切りました。終局は19時58分、残り時間は両者ともに残り1分だそうです。

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 黒 張栩 白 井山裕太 白の5目半勝ち 

終盤まで難解な局面が続いたので、どこをポイントに挙げていいかよく分からないですね。
まず封じ手(54手目)は大方の予想通りケイマでしたが、そこから63手目まで白は右上で地を持っておさまり、続いて下辺も76手目まで生き形について、白は地合いでの優位を主張します。対する黒は厚みを背景に81手目から上辺に迫りますが、白は背後からの奇手(86手目)、94手目のコスミなどで巧みに黒の攻めをかわします。
ここら辺りで白の勝ち筋に入ったかと思われましたが、張栩棋聖も簡単に土俵を割りませんね。121手目のグズミが頑強な一手で、ここからまぎれ始めたようですね。一瞬逆転したかとも思われましたが、井山五冠は150手目までコウで最強に突っ張り、勝負は闇地合いの様相を呈してきます。
159手目のブツカリから173手目まで下辺は取られますが、その間170手目で左下を生きたのが大きく、176手目で左上を地にした時点で、はっきり白が地合いリードしたようですね。その後、秒読みに乱れることもなく、井山五冠が着実に勝利を手繰り寄せました。

81手目からの局面。1と攻めにいったところを、6(86手目)と背後からの強襲! 私はこの手は初めて見ました。通常シノギやサバキはツケたりナナメに打ったりするもので、捨てるにしても遠くから利かしたりといったことが多いですが、そういった常識から外れた一手で、感動しましたね。

第一局を振り返っての感想ですが、序盤から持ち時間を使いすぎだったのと、中盤の張栩棋聖の粘りもあってやや不安もありましたが、全体としては終始井山ペースの一局だったと思います。何より、大事な初戦を取ったというのが大きいですね。
また、2年前に挑戦した時は、終盤秒読みで乱れたり、逆転負けを食らったりということがあっただけに、今回は大丈夫そうで安心しました。この調子で二局目以降も、一局一局確実に取っていって欲しいと思います。

第二局は、今月31日木曜日から、山形県南陽市の「瀧波」で行われるそうです。追加情報があれば、また追記するかもしれません。では、短いですがまた今度。

《追記》
読売の観戦記から。局後、張栩棋聖は137手目で1に打たなかったことを後悔していたとのこと。上図のように進んだ時、実戦と比べてAにキリが入っていないのが大きいらしく、これなら黒勝ちのようである。

因みに、実戦Aのところにキリが入ったあと、コウを争うなら黒Bのコウダテが最大だが、白は構わずコウを解消するつもりだったらしく、それで白に残るようである。

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