2013年2月28日

第37期棋聖戦第五局

第37期棋聖戦第五局は、206手までで白番の井山挑戦者が中押し勝ちし、シリーズ3勝目をあげました!そしてこれで井山五冠は、棋聖獲得まであと1勝と迫り、六冠同時制覇がいよいよ現実味を帯びてきました。
ちなみに終局は17時15分、残り時間は黒番の張栩棋聖が1時間50分、白番の井山挑戦者が残り2分だったそうです。

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今局は攻めの好局でしたね。昨日の時点では黒も地は多かったので、アマされることだけが少し心配だったけど、井山五冠に関して言えばそういう心配は無用でしたね。たとえ地合いでリードされていても、白番でコミと厚みがあるというのは、これほど心強いものはないですね。


 黒 張栩 白 井山裕太 白の中押し勝ち

まず封じ手ですが、本命とされていた出(58手目)でしたね。私は59手目のアテコミを利かされるのが癪だと思ったんだけど、あまりそういうのは気にしないっぽいですね。
続いて、下辺でコウが始まりますが、白もこのコウを負けると右下が薄くなってくるので、76、82のソバコウを使った後は、コウを解消せざるを得なかったようですね。黒85~87の連打は見るからに大きそうで、おそらく地合いではここで黒が一時優位に立ったと思われますが、白は厚みを活かして下辺黒への攻めに望みを掛けます。
88手目から攻めにいったのが中々の好点だったようで、90~102手目まで攻めの体勢を作り、白の楽しみが多くなってきました。下辺黒の大石のシノギ具合が問題になってきますが、白は122手目のツギや124手目のオサエなどしっかりした手を打ち、石が踊りませんね。黒の大石を睨みつつ、中央に大地を完成させ、ここで白が優勢になったようです。
黒は187手目のノゾキから投げ場を求めてきますが、やはり手にはならず損を重ね、最後は盤面でもどうかという形勢だったようですね。

解説によると、131手目のAに打った手では▲にノビてはどうかということでしたね。これだと中央の白地の付き具合が全然違うし、逆に上辺の白の薄みも目立ってくる。黒は大石の死活を心配したようだけど、実戦のように中央にあれだけの白地ができては勝負にならないので、▲に打って下の黒のシノギ勝負にいった方が良かったかもしれないとのことですね。

そして繰り返しになりますが、これでいよいよ井山新棋聖誕生まで、あるいは史上最年少グランドスラム達成まで、はたまた囲碁界史上初六冠同時制覇まで、あと1勝となりました!
前局の負けを見た時はちょっと不安になったけど、やはり地力の部分では井山五冠は負けてないですね。この勝ちで前局までの悪い流れも断ち切ることができたし、力を出しきることが出来さえすれば、よほどのことがない限りもう大丈夫なんじゃないかという気がします。この調子で、是非とも次の第六局で決めてほしいですね。

第37期棋聖戦第六局は3月13日、14日に静岡県伊豆市「玉樟園新井」で行われます。追加情報が入れば、また何か書くかもしれません。では、また!

追記:読売新聞から、対局後の両者のコメントを引用

井山挑戦者「右辺で地を与え、中央への攻めに掛けたが成算はなかった。」

張栩棋聖「一日目から薄い碁にしてしまい、苦しい局面が続いた。完敗だったが、次は頑張りたい。」
とのことです。何か両者とも途中まで形勢を悲観してたみたいですね。

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