2013年6月25日

第68期本因坊戦第五局

第68期本因坊戦第五局は、242手まで白番の井山本因坊が中押し勝ちをおさめました。これで井山本因坊はシリーズの対戦成績を3勝2敗とし、本因坊初防衛まであと1つに迫りました!
終局は19時22分、両者の残り時間は、井山本因坊が残り4分、高尾挑戦者が残り1分だったそうです。

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 黒 高尾紳路 白 井山裕太 白の中押し勝ち

いや、凄い碁でしたね! コウとフリカワリの連続で目まぐるしいほどでしたが、本当に大熱戦でした。
まず封じ手(60手目)ですが、やっと当たってくれました! 正直言ってこれが一番うれしい(単なる偶然でしかないけど)。でも、井山五冠にしては普通の手で、逆に意外でした。
その封じ手から最後まで激しい戦いが続きましたが、右辺の攻め合いで高尾九段に誤算があったらしく、黒はコウに勝ったものの、白152までで右上を制しては、白優勢になったようですね。
高尾九段も上辺の黒をシノギながらヨセで挽回を図りましたが、逆転には至りませんでした。

 両者のコメント

井山本因坊の話:「2日間とも難しい戦いだった。右辺がコウ争いとなり、上辺を連打(白150、152)できてよくなったと思った。

高尾挑戦者の話:「1日目、下辺で黒37、39と仕掛けたが、石が下に行きよくなかった。2日目、右辺のコウでうっかりミスがあり、一気に駄目にした。

パンダ解説から。高尾九段の打った27手目の新手の意味ですが、仮に1~3の進行になった時に
AよりもBに黒石がある方が石の効率がいいという判断に基づいたもののようです。このシリーズ、序盤での高尾九段の趣向が目立ちますね。

実戦90手目、右下のコウ争いの最中打たれた▲のワリコミはうまそうな手でしたね。

 1のキリなら以下6まで。これは白が立ち回ってそうですね。

 黒3でツギなら、6のノゾキが利くので、これも白に勢いがあるとのことです。

割り込んだ手で、仮に1と切ってしまうと2のブツカリを利かされて、黒4まで簡単に中央に進出されてしまいます。ワリコミの鋭さが窺えますね。
というわけで高尾九段、実戦ワリコミには受けず91手目で手堅くツギましたが、それはそれで好判断だったようですね。この後下辺で、お互いに薄みを狙いながらの大きなコウが始まりました。

94手目でAとつけた手では、2とコウをツナいでいれば、以下10まで白の打ちやすい碁だったとのこと。実戦の進行は少し損をしてしまったようである。

実戦123手目、右辺の攻め合いが焦点となっているが、黒がハネツイだ手では、黒1のツケからいった方が良かったかもしれないとのこと。右辺の黒を取られては大きそうに見えるが、黒7に石が来たことによって右下隅の白の味が消えるので、黒も左上を荒らしてこれならまあまあのようである。

林漢傑七段が示した、敗着と思われる局面。黒127手目では、1からダメを詰めた方が良かったとのこと。これなら実戦のようにコウを放置されることもなく、また11までこれで右辺の白を取れている。
実戦は白144~146が決め手となり、152手目までのフリカワリは白の方が大きく勝負が決まりました。

そして、先にも述べたとおり、これで井山五冠防衛にあと1勝と迫りました! なんかもう、完全復活って感じですね。やっぱ、LG杯での勝利は大きかったですね。あれでやはり流れが変わったという気がします。

逆に高尾九段はカド番に追い込まれてしまいましたが、決して調子自体は悪くなさそうなだけに、やはり流れがちょっと悪いのかな、といった感じですね。
前局からちょっとしたミスで好局をふいにしてしまっている印象ですが、でも碁の内容自体は悪くないと思うので、気を取り直して次頑張ってほしいと思います。七番勝負が次で終わってしまうのも寂しいので、私は次は高尾九段を応援したいと思います!

井山五冠は、今日勝ってこの後のテレビアジア杯に気持ちよく挑むことが出来ると思うので、結城十段と一緒に頑張ってほしいですね!

テレビアジア杯は今週木曜日から開催で、第68期本因坊戦第6局は来月に入ってから、7月10日、11日に三重県鳥羽市「戸田家」で行われる予定です。追加情報が入れば、また何か書くかもしれません。では!

2 件のコメント:

  1. りん6/27/2013

    2日目見れなかった…
    黒27は新手なんですね。自分は星にブツかってばかり。
    今度打ってみよう。

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  2. >黒27は新手なんですね
    新手というか、高尾九段の工夫ということらしいのでそうなのかなと思ったんですが、もし既に実戦例があったとしたら、それは正確には新手とは言えないですね。すみません。

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