2013年5月29日

第68期本因坊戦第二局

第68期本因坊戦第二局は、244手までで白番の高尾挑戦者が中押し勝ちし、シリーズの対戦成績を1勝1敗のタイに戻しました。
終局は18時41分。残り時間は、黒番の井山本因坊が残り1分、白番の高尾挑戦者が残り44分だったそうです。

 本因坊戦特設ページ

 毎日のサイト



 黒 井山裕太 白 高尾紳路 白の中押し勝ち

封じ手ですが、H14のアテ(69手目)でしたね。またしても予想を外してしまいましたが、井山五冠らしい読みの入った厳しい手でしたね。続いて上辺で大きなコウが始まり、92手目まで黒は上辺を打ち抜き、白が下辺を連打するフリカワリとなりました。コウを制しては黒がいいかと思われましたが、パンダ解説によると、実際の形勢は案外難しいのではないかとのことですね。
戦場は下辺へと移り、白は右下の黒石を取り込むべく、逆に黒は白への逆襲を窺いながらの攻防が続きます。白116手目の出に対して黒がおさえるのは、ダメ詰まりと断点を狙われて無理ですね。というわけで、黒は117、119と左下を狙い、白は118と中央に突きだすフリカワリとなりました。
しかし、このまま左下白が取り込まれては大きいということで、高尾九段左下を動き出していきましたね。132手目から再びコウが始まりますが、黒は121~123でコウ材を潰してしまっているのでコウ立てが難しいところ、左上につけて(133手目)いきました。
白142手目のツケは黒133の取り込みも見た妙手とのことですが、黒は143手目のハネ上げから運んで行ったのが上手い返し技でしたね。続いて165手目まで左辺を打っては黒まずまずと思われましたが、白も166手目からコウを再開したのが好判断だったようで、一進一退の攻防が続きます。
結局、黒はコウの代償に右下を生きましたが、183手目まで左下が一段落した時点での形勢は、結果的に見て白が少し厚いかもしれないとのことですね。
井山五冠非勢と見てか、205手目から中央を目いっぱい囲いに行きますが、206手目のツケがうまく、右の黒石をもぎとられては勝負ありでした。

第68期本因坊戦第二局

両者のコメント

高尾九段:「1日目はよく分からなかった。下辺のコウ争いは誤算があったが、終盤、右辺黒を取って勝ちがみえた。一つ勝ててホッとした。」

井山本因坊:「1日目はまずまずかと思ったが、結果をみると良くなかったのかも。まずい手が多く、特に、後半がひどかった。」

パンダの解説から。解説の安斎伸彰六段によると、白1~3と出て行ったのがうまく白15まで△の石を取り込んでは白勝勢とのことです。
私は、白206手目で右の黒石の取り込みと中央の荒らしを見合いにされたので、黒205手目が敗着になったのかなと思ったんだけど、下辺の黒石を取られた時点で既に悪かったんですね。

BS解説から。横田九段によれば、205手目のツケた手では、1のケイマで囲えば結構細かかったのではないかとのこと。でも、井山五冠はこれでは自信が持てなかったのかもしれませんね。

205手目以降は変化が多く、白も間違えが許されないところだったが、実戦214手目のホウリコミが黒のダメを詰めるうまい手筋だった。
214手目で単に1と当ててしまうと、黒2とツガれてAとBが見合いになってしまう。実戦コウになったものの、黒からのコウダテがどこにもなく、ほぼ無条件に近い取られとなっては、白の勝ちが確定した。
色々総合すると、下辺の黒取られた時点でやや白優勢で、中央右の攻防で突き放したといった感じのようですね。

とりあえずこれで1勝1敗ということで、七番勝負が盛り上がってきましたね。井山五冠は秒読みに追われてたのもあってか、ちょっと無理をしすぎたといった感じの一局でしたが、同時に高尾九段の形勢判断が光った好局だったように思います。
この二人の碁は、コウやフリカワリの絡んだ形勢判断の難しい碁になることが多く、面白い上に勉強にもなるので、第三局以降も非常に楽しみですね。

第68期本因坊戦第三局は来週6月5日、6日に北海道釧路市「あかん鶴雅別荘 鄙の座」で行われる予定です。追加情報が入れば、また何か書くかもしれません。では、また!

0 件のコメント:

コメントを投稿